ザ・フェイク/THRILLER TODLICHER UMWEG DEADLY DIVERSION

Director:クルト・M・ファウドン
Cast:ケン・デュケン、セバスチャン・コッホエヴァ・ハッスマン、ミヒャウ・フリースツ
俳優のエイドリアンは映画の最終オーディションに向かう途中に、雪山でスリップして横転した自動車と重態の男性を発見した。エイドリアンは急いで警察に連絡して一緒に現場に向かったがそこには自動車も男性も消えていた。そして不信に思った警察官に捕まってしまう。

こんなに不愉快になった映画は「トゥルーマン・ショー」を観た以来。最初はストーリーの方向が分からず、どうなって行くのだろうと思っていたのですが分かるに連れて不愉快度はアップして行くばかり。
設定や進み具合にちょっと強引な点はありますけれども、確かにストーリーはなかなか面白いです。どこまでも客観的に映画を観る事が出来る人だったなら、楽しめるかもしれませんが私には無理でした。人を騙すこの手の映画ってのはいっぱいあるし私も好きですよ。ただ、人を騙すって事には限度があるし、人間性を否定したり極限の状態に追い詰められている姿を観て楽しむ気にはならない。それがこの映画の最大の見せ場なんだろうけれども。
途中からこちら側はエイドリアンが置かれている状況を把握出来る状態になってしまう事も、不愉快さの原因なのでしょうね。私は一緒にエイドリアンを騙している様な気になってしょうがなかった。いっそうの事ラスト迄こちら側にも真実を知らしめてくれない方が楽しめたのに。
マイケル・ダグラス主演の「ゲーム」だって彼を極限の状態にまでおとしめる映画だけど、あれはラスト迄こちら側にはっきりとした真実を知らしめないから観てる方の罪悪感もないし、それよりも結末が気になってそれどころじゃないですしね。この映画ほど設定に無理もない。
しかし主人公のエイドリアンって鈍感過ぎですよね。最後の最後迄気が付かないのはおかしいですよ。だいたい最初から不条理極まりないし。それともあそこまで追い詰められたら、何もかもわからなくなってしまうって事なのでしょうか。
ストーリーは面白いですけれども、人に殺意を抱かせる程に感情を煽る映画ってのはやっぱりいただけないですよ。

2005/03/20

ザ・フェイク [DVD]