間違い電話

朝、勤務先のIさんから電話がありました。
「もしもし。おはようございます。」と言うも、Iさんは無言のまま。で、何やら〝カツカツ〟と歩いているらしき音が聞こえます。歩きながら電話をかけていて、電波が悪いに違いないと思い込んでいたのでもしも〜しと言い続ける私。
数秒後、
「おはよう」とやっと電話から声が聞こえてきたので、
「おはようございます。朝からどうしたのですか?」と私。
「今日、寒いね」Iさん。
「そうですね。この寒さは死ねますよ」私。
「うん、寒いね。ところで鼻大丈夫?Iさん」
へ?あんた誰?私じゃないのか?誰と話をしてるんじゃ?
私を明らかに放置して続く会話。
「私さ、鼻の穴もガビガビやったやん。皮がはがれて鼻くそが付いてるみたいになってたし。だから夜寝る時、綿棒で鼻の穴に薬塗ってん。朝起きたらずいぶんましになってたよ」とIさん。
「ああ、ほんとに。良くなってるね」とIさんのつれ。
ああ、そういう事か。鞄の中に携帯を入れていてはずみでかかってしまったのね。事態が飲み込めたので電話を切る私。ちょっと脱力。しかし、鼻の穴を見せる方もどうかと思いますが、見る方もいかがなものかと。それも朝っぱらから。
で、その日のお昼ごろにIさんから電話がかかって来ました。ドキドキしながら出ると今度は本当にかけてこられた様です。開口一発、
「Iさん、鼻の穴に綿棒突っ込んだらしいですね」と言い放つとおおいにびびってたので説明をすると、
「何ですぐに電話切ってくれなかったん!?それ盗聴!」とのたまわれる。いやいや、盗聴じゃないですよ。それならあなたの電話が盗聴器になってしまいますよ。それに仕掛けたのはあなたじゃないですか。