25時/25TH HOUR

Director:スパイク・リー
Cast:エドワード・ノートンフィリップ・シーモア・ホフマンバリー・ペッパーロザリオ・ドーソンアンナ・パキンブライアン・コックス、トニー・シラグサ
25時間後に、懲役7年の刑で刑務所送りになる事が決まっている麻薬ディーラーのモンティ。彼は行きつけの店で最後の夜を明かす為に友人2人に声をかける。彼は自分を密告したのが恋人のナチュレルだと疑っていて、やりきれない思いを抱えていた。

モンティ演じるエドワード・ノートンは相変わらず存在感出しまくりです。この人に演じる事の出来ないキャラクターは存在しないのではないでしょうか。でもヒゲは出来れば止めていただきたい。私が個人的に嫌いな所為もありますけが、似合わないですって。わざわざ小道具で役作りをしなくっても良いじゃないですか。その演技力があれば十分ですよ。
私は映画よりも、デイヴィッド・ベニオフの原作を読んだ時の方が感動しました。この映画がダメって言っているのではなく、あの原作の行間はこの映画では読み取る事が出来ないです。その辺は能動か受動の違いが大きな原因だとは思いますが。
ストーリーはモンティがシャバで過ごす最後の夜と、彼の回想を織り交ぜながら進みます。未来には希望があった筈なのに、手っ取り早い金儲けに走り破滅の道を選んだ男の後悔と絶望。彼に残された道は刑務所か逃亡か自殺か。どれを取っても彼に未来はない。そんな思いを抱きながら過ごすモンティ。
麻薬を売りさばいて逮捕されたのだから自業自得だとは言え、密告した奴や彼が麻薬を売っている事を知っていながら止めなかった友人を恨むわけでもない彼を観ていると、やりきれない気分になってしまって。自分でもびっくりですよ。いつもならこの手の映画を観ると〝自業自得だよ。ばかやろ〜〟とか平気で思うタイプの人間だったはずなのですが。私が年を取って丸くなったのかエドワード・ノートンに騙されたのか。出来れば後者だと思いたい。
モンティの友人役はフィリップ・シーモア・ホフマンバリー・ペッパー。私の苦手なフィリップ・シーモア・ホフマンが、教え子に好意を寄せる七三分けのネクラでおよそもてそうにない高校教師役。あ〜、嫌だ。「ハピネス」を観て以来、異常にこの人が気持ち悪く見えてしまうのです。方や、株式ブローカーのフランク演じるバリー・ペッパーはなかなかのワイルド男前。隣にいるのがフィリップ・シーモア・ホフマンなので、余計に男前に見えてしまうのかもね。
ラスト数分間の映像がとても素敵な映画でした。あの特殊メイクはやりすぎの感はありますけど。どん底に落ちた時こそ少しの希望で人間は強くなれる。失うものがない心の強さと、失いたくないものがある心の強さでは後者の方がはるかに強い。そんな事を考えさせられる映画です。

2005/04/08

25時 スペシャル・エディション [DVD]