コラテラル/COLLATERAL

Director:マイケル・マン
Cast:トム・クルーズジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット=スミス、マーク・ラファロピーター・バーグブルース・マッギル、イルマ・P・ホール、バリー・シャバカ・ヘンリー、ハビエル・バルデムジェイソン・ステイサム
ロサンゼルスでタクシー運転手を12年間しているマックス。ある日、彼はビジネスマン風の男を乗せる。ヴィンセントと名乗った男はマックスに、多額のチップと引き換えに一夜の専属ドライバーになり、5箇所を回ってくれと依頼する。マックスはチップ欲しさに引き受けるが、ヴィンセントはプロの殺し屋だった。

冒頭から衝撃を受けました。ロサンゼルスの夜の雰囲気がたまらない。言葉少なく話すジェイミー・フォックス演じるマックス。ここだけ観れば、ハードボイルドの世界ですよ。これまで多くの名優と呼ばれる人達の映画を観て来ましたが、初手からこんなにも演技に衝撃を受けた事は今までになかったですね。タクシーに乗り合わせた色々な客とマックスを絡ませれば、殺し屋ヴィンセントなんかこれっぽっちも必要ない。トム・クルーズが出演している事によって、派手なアクションやエンターティメント性を重視せざるを得ないので、つまらんストーリーになってしまうんじゃないかな。実にもったいない。彼と人生の機微って合わないからしょうがないのかしれないけど。
一貫して暗い雰囲気の映像はすばらしい。夜の帳が下りた世界に生きている人間を包み込むかの様な雰囲気。一人でいるのがいたたまれない、そんな感じ。そんな中、2人の男が偶然にも出会い事件に巻き込まれて行く。
殺し屋ヴィンセントを演じるのはトム・クルーズ。今回の彼の衣装はなんだかオヤジみたいでした。ねずみ色のスーツに白いシャツ。スーツのパンツなんだからベルトぐらいしろよ!と彼を見るたびに思ってしまった。そんな彼の動きは「ターミネーター2」のT-1000そっくり。首の辺りを撃たれて倒れたのに、起き上がって平気で走り回る姿は人間じゃない。ありえね〜。不死身じゃあるまいし。
冒頭のシーンで否応なしに期待が高まっていた私は、タクシーの中での会話によって彼らの人間性が掘り下げられるに違いないと思っていたのですが、全くそんな事なかったです。どっちの人間も中途半端にしか語られない。ヴィンセントは殺人に対して己を正当化する様な物言いしかしない、それに対して反論出来ないマックス。あの喋りっぷりからすると教養ある知的でクールなヒットマンを演じていたつもりなのだろうけど、意外とどんくさい。タクシーの上に死体を落とすし、殺す相手の名前も覚えてないってどうよ。
そんなこんなで、ストーリーは進んで行きます。ラストはひねりのないサスペンスタッチな仕上がり。あのすばらしい雰囲気なんか、くそくらえのラストですよ。そこまでぶち壊しにしなくっても良いじゃないですか。

2005/05/25

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